鈴鹿市しあわせ環境基本条例

●●●鈴鹿市環境基本条例(仮称)に関する提言


鈴鹿市長 加藤 栄
環境基本問題検討委員会で検討した“鈴鹿市環境基本条例(仮称)に関する提言”を以下に記します。
平成10年6月5日

1.はじめに
主として農漁業や自動車関連企業から成立つ鈴鹿市は、典型的な日本の田園小都市である。特に重化学工業がないため、直接的には大きな公害の被害を被ることなく今日に至ってきた。
我が国の公害問題の原点ともいわれるものは、昭和30年半ばから隣接する四日市市でおこったのであるが、それは私共日本人すべてに貴重な教訓を与えた。
たえずよりよい生活を求める庶民の願いとともに、それに平行する経済優先の効率主義は、たしかにわが国の繁栄に貢献した。けれども全国いたるところでさまざまな形で環境問題をひきおこし、鈴鹿市も決して例外ではない。身近な例をあげるならば、人口増加による都市化の進展とともにますます増加する生活、産業廃棄物の処理、様々な化学物質などによる土壌、河川、海洋(伊勢湾)汚染、大気の汚染、無秩序ともいえる乱開発による自然環境(森林、田園、海岸)と都市景観の喪失と破壊など、住生活環境の悪化は着実に進行している。
海洋の自浄能力をはるかに越える汚染の昂進(こうしん)は、たとえば過激な熱帯雨林の伐採などに比べるとき、肉眼的に掴(つか)みにくいこともあって、一般市民に深刻な危機意識をよびおこすまでに至っていないのも事実である。けれども両者には本質的に全く違いがないということを認識しなければならない。
20世紀の終焉と新しい世紀の到来が目前に迫っていることを考えるとき、次世代、なかんずく子供たちの将来に健康で安全な生活環境を保証する道を探り、そのためにあらゆる可能な手段をつくすことは、鈴鹿市に課せられた使命である。

2.条例の目的
鈴鹿市民が将来にわたって末永く、健康で、明るく、かつ文化的な生活を営むためには、安全で良好な生活環境が保たれなければならない。そのための指針として本環境条例を制定する。

3.基本理念
  1. 鈴鹿市民が幸せな生活を続けるためには、望ましい自然環境の維持、保全とともに、整備、回復、活用などが必要である。それらが重要な課題であるゆえんは、様々な形の人間活動が環境に対して望ましくない負荷を与えているばかりか、その保全にとって大きな障害となり、さらには過激な破壊が進行しているからである。
  2. 環境の保全という、いうならば地球全体的課題に永続的に取り組むために、なによりも大切なことは、人間も自然の一部であるということの認識である。昨今しばしば口頭にのぼる「共生」という言葉の源はここにある。自分だけがよければよいという自己中心的な考えではなく、人間同志が互いに助け合い、育みあい、学び合い、そして共に働くという、昔から私共の暮らしのなかにあった謙虚な心をもつことこそ大切である。
  3. すべての人間は、生きるためにエネルギーを必要とする。また人間社会は大量のエネルギー(有限の地球天然資源)を消費してその効率化をはかってきた。その増大と加速が上に述べた環境に対する負荷となってはね返ってきているところに環境問題の根源がある。それを軽減、回避するために太古の生活様式にもどることができないのは言うまでもないことであるが、生活の仕組みを変えていく上で、一つには節約の精神とともに、消費物の有効利用、つまり“リサイクリング”の考えに基づく斬新な方式を個人生活のみならず公共活動にも積極的にとり入れることがなによりも大切である。これは鈴鹿市にとって最優先課題である。
  4. 市の基本姿勢、環境保全に関する諸々の施策を具体的に実行に移す母体は鈴鹿市当局である。市は本条例がすべての施策に優先することを十分に認識すべきである。
 上記提言は数度にわたる委員会で十分論議の末、その共通意見として
 とりまとめたものである。また、以下に補足的意見を記す。
  1. 本条例はあくまでも鈴鹿市の環境条例であるから、「市の独自性」を強調することが最重要である。
  2. 一般市民が理解できるように、「わかり易い文章」で起草すること。
  3. 「鈴鹿市民参画型」のプログラムとして市民すべてに受入れられるよう充実した内容をもつこと。
  4. 「環境教育」の大切さを強調すること。即ち学校教育、生涯教育、家庭教育の重要性を指摘すること。
  5. 鈴鹿市の環境問題に関する条例には「環境権」を明記すること。その環境権とは日本国憲法前文から導き出されるものである。
  6. 基本理念としてとくに強調している資源の有効利用と循環型生活様式として、「リサイクリング」の重要性ならびにその実施のための提案を明記すること。
  7. 「情報公開」の実施とその推進をはかること。情報公開制において三重県が最も先進的であることを想起すべきである。
  8. 策定後の「運用の充実」をはかること。
  9. 市民による「監査制度」の導入をはかること。
  10. 「被害者の救済」について明記すること。

4.おわりに
以上、検討委員会の資料(議事録および各委員の意見書等)を添付(別添)のうえ提言するので、市長はこれらの内容と意見に格別留意の上、条例作成にあたられるよう要請する。

平成10年6月5日
委員長赤澤 堯 委 員杉野 淳子
副委員長市川 雄二 委 員中西 大輔
書 記一色 将行 委 員中村美代子
委 員熊田 三郎 委 員林 佳代子
委 員近藤 泰典 委 員八橋 隆之
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